認知症の方の介護をすることはとても大変です。
もの忘れがひどい、徘徊がある、怒りっぽい、不安が強い などの症状がある認知症の方の介護をしていると、意思疎通がうまくできないこともありイライラしてしまうことも多いです。
私が認知症の方のお宅に訪問した時に、急にぬいぐるみが喋りだしてビックリしたことがあります。
その方の家族にぬいぐるみの効果を尋ねたところ、「ぬいぐるみを渡してから穏やかになった」と言われていました。 この記事では、認知症と喋るぬいぐるみについて取り上げたいと思います。
認知症の症状
認知症の症状は「中核症状」と「周辺症状」の2つに大きく分けられます。
原因疾患により直接的に生ずるもの(記憶障害や見当識障害、理解力・判断力の低下など)
原因疾患や生活環境などの影響により間接的に生ずるもの(行動・心理症状)
※ 原因疾患 … アルツハイマー型認知症、血管性認知症など
認知症の症状の例
もの忘れ(記憶障害)
- 数分前、数時間前の出来事をすぐ忘れる
- 同じことを何度も言う・聞く
- 昔から知っている物や人の名前が出てこない
時間・場所がわからなくなる(見当識障害)
- 日付や曜日がわからなくなる
- 慣れた道で迷うことがある
- 出来事の前後関係がわからなくなる
理解力・判断力が低下する
- 手続きや貯金の出し入れができなくなる
- 状況や説明が理解できなくなる、テレビ番組の内容が理解できなくなる
- 運転などのミスが多くなる
仕事や家事・趣味、身の回りのことができなくなる
- 仕事や家事・趣味の段取りが悪くなる、時間がかかるようになる
- 調理の味付けを間違える、掃除や洗濯がきちんとできなくなる
- 洗面や入浴の仕方がわからなくなる
- 憂うつでふさぎこむ、何をするのも億劫がる、趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなる(抑うつ)
- 怒りっぽくなる、イライラ、些細なことで腹を立てる(興奮)
- 自分のものを誰かに盗まれたと疑う(もの盗られ妄想)
出典:こころの情報サイト(https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=WwE9LLpYbVZTIDMI)
認知症の悪循環
脳への刺激が無くなると認知症はどんどん進行してしまいます。 認知症になると図のような悪循環に陥ることがあります。

このようなサイクルになると脳への刺激がますます無くなり、認知症の症状が悪化していきます。
認知症の方にぬいぐるみは有効
認知症の方にぬいぐるみを渡して、「ぬいぐるみと話す」「ぬいぐるみをなでる」といったことを実際に行ってもらうことで不安や興奮といった周辺症状が改善された事例があり、
【認知症の症状改善にぬいぐるみは効果がある】と言えます。
喋るぬいぐるみが認知症の方にもたらす効果
実際に認知症の方にぬいぐるみがどのような効果があるのか具体的にみていきましょう。
脳の活性化に繋がる
会話は脳を活性化させるのに大切な行為です。
認知症の方はコミュニケーションがうまくできず、会話が減る傾向にあり、会話をしなくなると脳への刺激がなくなり認知症がより進行してしまいます。
ぬいぐるみ相手でも会話をすることで、脳への刺激になり脳の活性化に繋げることができるのです。
寂しさを紛らわせる
認知症の方は、寂しさから不安や徘徊に繋がることがあります。
家族がずっとそばに居て見ることができればいいですが、家族にも生活があるのでなかなか難しいでしょう。
また、住環境であったり経済的な問題などによって、ペットを飼うことが難しいこともあると思います。
会話ができるぬいぐるみがあると寂しさを紛らわせることができ、不安や徘徊などの症状を軽減させることに繋がります。
ぬいぐるみの種類
会話ができるぬいぐるみは赤ちゃんや子ども以外に、犬や猫のぬいぐるみもあります。
犬や猫のぬいぐるみは、会話はできませんが頭やしっぽをなでたり声をかけることで反応してくれますし、毛がふわふわしていて触り心地が良いので心が穏やかになり、症状改善にも繋がります。
ぬいぐるみを使用する際の注意点
ぬいぐるみを使う際に注意が必要なポイントとしては、ペットロスに似たような現象が起こるということです。
かわいがっていたぬいぐるみが故障してしまった時に、精神的にショックを受けることがあるので気を付けましょう。
万が一のときに備えて、同じぬいぐるみを用意するなどの対処法も事前に考えておくのもいいと思います。
まとめ
認知症が進む原因として脳への刺激が不足していることが挙げられます。
脳へ刺激を与える為に、脳トレや他人とのコミュニケーションを積極的にとるように声掛けしても、認知症の方は自分から進んで行うことは難しいと思うので、本記事で紹介したような会話型のぬいぐるみを試していただけたらと思います。
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